オープニングは「少女時代」(アルバム「PANT」。後に原由子もセルフカバーした)の静かなイントロから。観客席右手からいきなり登場して歌いだすも、悲しいかな僕の席は左側。久々に生で見る彼女は3児の母となっても相変わらずの魅力だった。数少ないリハーサルで歌詞を間違えまくったとかで、カンニング用の歌詞が譜面台に置かれているのがご愛嬌。続いて「May」(「風夢」)、「AXIA〜かなしいことり」(「AXIA」)、「土曜日のタマネギ」(「ガラスの鼓動」)から、紅白歌合戦でも歌った代表曲の一つ「悲しみよこんにちは」(「チャイム」)。
「疲れちゃった」とかでベンチに腰掛けながら「ブルー・サブマリン」(「PANT」。歌詞の中にちゃんとベンチが登場)、「街角のスナップ(「風夢」)、「MOON WALTZ〜月の輪舞〜」(「LOVE」)、「The April Fools」(「moi」。当日も触れられたように先日来日したバート・バカラックの曲)。後半は最初に着ていたチェックのコートを脱いでピアノのリサイタルにでも参加するようなシックな衣装へと衣替えだったが、本人曰く「ロマンチック・シリーズを歌ってみました」。
ここでのMC中、本人の口から「2ちゃんねる」という単語が飛び出したのが驚きだったが、なんでもコンピュータ関係が苦手な彼女はマネージャーにネット上での話題を見せてもらったらしい。コンサート開催と言うことで、歌われる曲やゲストの予想が議論されるのを見て、意外にも上位に入っていた作品ということで「予感」(「チャイム」)。シングル・カットも特にされていないのに、何故か人気の高い曲らしい。ゲストが予想されていたのは、昨年秋に谷山浩子のコンサートにゲスト出演しているから。谷山浩子からは何曲も曲の提供を受けており、今回でも「土曜日のタマネギ」や「MAY」等がそれに当たる。
続いては、井上陽水のカバーであり、不思議な(?)振り付けでも当時話題となった「夢の中へ」(ベスト盤のみ)。そしてデビュー曲「卒業」。ステージ背後のスクリーンにデビュー当時の収録風景が映し出され、この時ばかりは観客の視線もステージ上の本人でなく18歳の姿に釘付けか。
そして最後に何を歌おうか迷ったということだったが、改めて自分の人生を振り返ってみて、やはり一番お届けしたい気持ち…ということで「意味」(「LOVE」)。ある種の宗教歌とも言うべき荘厳な歌詞(彼女自身はモルモン教徒)は、当時から宗教心の全くない僕にもずしりと響く名曲だった。
『孤独の意味を 教えて 命の意味を教えて
どうして ひとり これから
生きてゆけるだろう』
もちろん、そのままだったら僕が好きになるわけもなく、この歌は最後にこう締めくくられる。
『深く息止め 膝をつき 強く踏み出し駆け出せ
駆け抜けて行け 激しく自分を抱きしめて』
万来の拍手の中、アンコールで登場した彼女は「初戀」(「ガラスの鼓動」)。そして当日会場にも来ているという一番上の子を含め3人の子供たち、ご主人、ご両親へと感謝の気持ちを混めて、「家族の食卓」(「風夢」)でエンディングを迎える。相変わらずパルコ劇場は場内照明をさっさとつけて退場を促すのが早すぎるのだが、充実した105分だった。
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