2012年11月05日

ファーストマン

10月は結婚式やら新婚旅行やらでバタバタしていて、ブログも書きたいことがたくさんあったのに全く書けなかった。新婚旅行どころか、7月に行ったハワイの話も書こうと思っていたらもう11月。今年は本当に忙しい…。

その辺はおいおい書くとして、今回の旅行中に『アームストロング』でも触れた「ファーストマン」を読了。上下巻合わせて1000ページを超える大著だが、のんびりした旅行だったので、プールサイドでゴロゴロしながら読み通すことが出来た。

アポロ11号で、人類初の月面着陸を果たしたニール・アームストロング初の公式伝記であり、スコットランド由来のアームストロング家の先祖に始まり、ニールの子供時代、学生時代、海軍時代、そして宇宙飛行士時代とその後を描く。膨大な人物に取材を行ったようで、様々な人物のコメントが引用されているが、そのいちいちに注釈が付いている(その人物から著者への電子メールによる、といった注釈が今風か)。

面白かったのはアポロ11号の3人の飛行士のうち、誰が最初に月面に足を踏み出すのか(ファーストマンになるのか)の議論。指令船に残るマイク・コリンズはさておき、船長たるアームストロングと着陸船操縦士のこのバズ・オルドリンのどちらがファーストマンたるべきか?二人乗りのジェミニ計画では、船外活動を行ったのはもっぱら船長ではなく、もう一人の側だった。野心家でもあるオルドリンは、自分こそファーストマンであるべきだとし、実際に父親を通じてNASA上層部へ政治工作を行ったりもした。彼のこうした姿勢や日常の態度から、上層部はオルドリンを毛嫌いし、絶対にアームストロングをファーストマンにするという決定を下した(余談だが、NASA上層部は、アポロ1号の事故でなくなっていなければ、ファーストマンはマーキュリー計画の宇宙飛行士、オリジナル・セブンの一人であるガス・グリソムだったろうと考えていたと言う。)。

伝記はもちろん、アームストロングの立場にたったものであり、彼が冷静沈着な人物として描かれる一方、オルドリンが悪者になっている嫌いはあるが、実際にファーストマンとなるか、セカンドマンとなるかという極限状態になって、必死になったオルドリンの立場も分からないではない。オルドリンやコリンズも自伝があるらしいので、時間が出来たら読んでみるか。

もっとも、先に読んでみたいのは、アポロ13号船長だったジム・ラヴェルの自伝、"Lost Moon"、日本語版はその名も「アポロ13」(映画の原作でもある)。彼をオルドリンにかえてアポロ11号乗組員にしてはという提案もアームストロングにあったようだし、大成功だったアポロ11号との対比で、"successful failure"と呼ばれたミッションだけでなく、ラヴェルその人にも興味がある。日本語版は品切れ状態だが、文庫再販してくれないかな。

「ファーストマン」中で面白かった箇所としては、工学部出身だったアームストロングを念頭に、 「アポロの月面着陸プログラムに関して最も重要なポイントが二つある---殆ど認知されないポイントでもあるが。月面着陸をを成し遂げたのは科学(サイエンス)よりも工学(エンジニアリング)であったこと。そして、科学者ではなくエンジニアが、地球外の別世界に最初の足跡を記したことである」。アームストロング自身、パデュー大学で航空工学を専攻しており、宇宙飛行士引退後、大学で教えた事もある。科学と技術の幸せな結びつきが、アポロ月面着陸と言う偉業を達成し、その実行役としてアームストロングのような人材が時代に選ばれたと言う事かも知れない。
posted by としゆき at 22:57| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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