2011年02月15日

ウォール・ストリート

映画「ウォール・ストリート」を見てきた。いわずと知れたオリバー・ストーン監督の映画で、1987年公開(舞台は1985年)の「ウォール街」の続編に当たる。映画にあわせて、旧「ウォール街」もレンタルで復習。随分と久々に見たけれど、なかなかに面白かった。

新旧どちらも原題は"Wall Street"(ただし2011年版は副題として"Money Never Sleeps"が付く。このセリフ自体は旧作にも登場)。個人的にはカタカナ邦題じゃなくて、再度「ウォール街」でも良かった気がする。副題の訳は難しいけれど…。「現ナマは眠らない」だと、ちょっと古いセンスだし、デリバティブやITっで武装した現代金融における「マネー」の概念とはちょっと違うか。旧「ウォール街」でも、「コンピュータ化がどんどん進んでいくのに付いていけない」と言った不満の台詞が出てきたが、そんなコンピュータ世代の新人類として描かれたバド・フォックス(チャーリー・シーン)が、自宅で使っているPCは、今から見ればおもちゃみたいな代物だった。今回、ニューヨークの夜景の中を株価や為替のティッカーがどんどん流れていく映像があったが、高度情報化産業と化したグローバル市場のイメージを描いていて悪くない。

おもちゃみたい、と言えば、旧作中、海辺のリゾート地からバドに取引の指示を出す、マイケル・ダグラス演じるゴードン・ゲッコーは、30〜40センチはあろうかと言う携帯電話で会話していた。新作のオープニングではインサイダー取引の罪で収監されていたゴードンの出所シーンから始まるが、私物が返還されるときに出てきたのはこの「巨大」な携帯電話だった。この辺りは時間の経過・時代の変化を端的に示すと共に、旧作と続けて見た人には楽しいおまけ。

その旧作ではゴードンの息子が出てくるが、新作では彼は亡くなっており、収監中でその死に立ち会えなかったゴードンを娘のウィニー(キャリー・マリガン)は嫌悪している。そのウィニーの恋人であるジェイコブ(シャイア・ラブーフ)は投資銀行KZIに勤めるが、粉飾決算の噂を機にKZIは倒産、ジェイコブの師で恩人でもあるルーは自殺してしまう。おそらくこの会社のモデルは、2008年9月15日に破綻したリーマン・ブラザーズ。六本木ヒルズのTOHOシネマズで映画を見ていたので、感慨深いものもあった(日本のリーマンは六本木ヒルズ内にオフィスがあった)。

その後、KZI倒産の裏側にチャーチル・シュワルツのブレトン・ジェームズが噛んでいる事をつかみ、ジェイコブは彼に一泡吹かせる計画を立てるが、その程度のダメージは大した事はなく、逆にその才能を変われブレトンにスカウトされる。

一線を退いたと思わせながら、娘とその恋人をも欺き、怪しく華麗に復活を遂げるゲッコー。ブレトンと決別し再度打倒へと向かうジェイコブ。父親に対する愛蔵半ばする感情をもてあますウィニー。3人の思惑が絡み合いながら物語は進んでいく。

KZI破綻後も、さらなる金融危機の泥沼の中でブレトンが失脚、ゲッコーは元手を11倍にする。おそらくブレトンに投影されているのはゴールドマン・サックス(ちなみにオフィスは六本木ヒルズ)。ゲッコーの大稼ぎのエピソードは、サブプライムで名を上げたジョン・ポールソン(『史上最大のボロ儲け』に良く描かれている。ちなみにこの本、原題は"The Greatest Trade Ever"。この邦題、ちょっと品位が…)だろう。AIG関係のエピソードはないのかな?と思ったが、映画パンフレットによるとオリバー・ストーン監督はカットしたらしい。

金融マンには、ああ、これはあの事か、これはあの人か、と言った楽しみ方も出来るが、全般的に詰め込み過ぎな感があり、映画(エンタテインメント)としての面白さはもう少しかな?という気もする。業界関係者じゃない人の感想をいろいろと聞いてみたい。

それから、CDS(=Credit Default Swap)関係の字幕が混乱気味で、意味の通らない部分があった(ように見えた、字幕なので記録が残っていないのだけれど)。映画の最後に見てみると、字幕は悪名高き戸田奈津子。これから見に行く人は注意して見てみて下さい。
posted by としゆき at 20:58| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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