2009年12月30日

日銀へようこそ

先週金曜日、世間がクリスマスで盛り上がっているさなか、日本銀行を訪れた。昨年もクリスマス・イブに「日銀☆NIGHT」というイベントに参加した(『日銀☆NIGHT』参照)が、今年は「日本銀行へようこそ」と、いたってオーソドックスな名前になっていた。おそらくは、いろんな方面から苦情が来たためではないかと推察。

それはさておき、昨年同様日替わりの内容で、21日は「にちぎん入門」、22日が元副総裁の藤原作弥氏による「ジャーナリストと『フクソー』(副総裁)の間で」と題した講演、24日は「お札の話」、そして25日は「景気の見方」だった。昨年は第一希望の「景気の見方」に外れて「お札の話」に回されてしまったので、今年は「景気の見方」のみに応募し、無事に招待状のハガキがやってきたのだった。

さて、調査統計局の関根敏隆氏による「景気の見方」。3本立ての大枠は「景気とは何か。」、「景気はどう測るのか。景気は最近どうなっているのか。」、そして「景気の先行きはどうやってよむのか。今後の景気はどうなりそうか。」だった。プレゼン資料の内容をざっと紹介すると…

『1. 景気とは何か。』

●ミクロ景気とマクロ景気: 本日の話の中心は「マクロの景気」

●景気は循環する?: 景気=潜在成長+景気循環による変動(景気拡大期・景気後退期)

●経済の実力と調子: マラソンランナーに喩えると、選手の実力実力⇔潜在成長、選手の好調・不調⇔景気循環による変動(好況・不況)

●景気変動と物価変動: 景気がよい(悪い)ときは、物価が上がり(下がり)やすい→フィリップス曲線

●中央銀行と景気: 物価安定を目指す中銀は、景気変動も安定的で潜在成長率に見合った巡航速度での拡大を望む→中央銀行の仕事とは、「パーティーが盛り上がってきたときに、パンチボールを片付けること」(マーティン元FRB議長)

『2. 景気はどう測るのか。景気は最近どうなっているのか。』

●3つの視点: Aggregate(全ての経済活動を推計、足し上げ)、Survey(アンケート調査)、Average(景気感応的経済指標の動きの平均)

●マクロ景気の代表選手:国内総生産(Gross Domestic Product) ←"Aggregate"

●景気は「気」から:家計・企業の見方 企業の業況判断や家計の消費マインド ←"Survey"

●各種の指標を合体:景気動向指数 ←"Average"

●景気基準日付: 戦後の第14循環は2007年10月(暫定)に山、そしておそらくは2009年に谷を打ったのでは…?

●原油価格の上昇: 日本にとっては所得流出

●米欧住宅バブルの崩壊: 家計のバランスシート毀損、借金返済のため消費手控え

●国際金融市場の混乱: サブプライムローン問題の表面化以降、社債利回りの対国債スプレッド拡大、株価下落 →どちらも最悪期からは戻りつつあるが…

●輸出依存度の高まり: 輸出/GDPは2007年頃には18%近くに上昇していた(90年代は〜10%程度)

●景気は持ち直しへ: 2009年実質GDPは個人消費と輸出によって持ち直しつつある

『3. 景気の先行きはどうやってよむのか。今後の景気はどうなりそうか。』

●エコノミストの経済予測とは…: 「過去におこった出来事をもとに将来を予測するというのは、フロントガラスが完全に曇った状態で、バックミラーだけを頼りに、車を運転するようなもの。」(ハーベイ教授)

●正確な景気の現状認識には…: 主要経済指標を入手、そのクセを知る、ストーリーを持つ、ノイズは無視する、プロの話を参考に

●日本銀行調査統計局では…: 経済統計を分析、背景のメカニズム(ストーリー)を見極める→企業にヒアリングしてストーリーのもっともらしさをチェック→主要経済指標の先行きを予測→各種計量モデルでクロス・チェック

●金融政策決定会合: こうした作業の結果が報告され、活用される。対外的には「当面の金融政策運営について」、「金融経済月報」等で公表

●海外経済の拡大は続く: 中国の成長に助けられる(IMF予測)

●日本銀行政策委員の予測(09年10月): 2011年度には実質GDPは〜+2.1%、消費者物価(除く生鮮)は〜-0.4%

●まとめ: リーマン破綻以降の国債金融市場の混乱は落ち着きつつある(急性疾患)⇔米欧のバランスシート問題はなお世界経済の下押し圧力(慢性疾患)。今後の日本経済は新興国需要をいかに取り込むかにかかる。潜在成長率を引き上げるのも重要。

これを見てもらうと分かる通り、内容は非常に初歩的で、特に金融・経済の専門家を対象にしたものと言うわけではない。講演の最初に「GDPという言葉を知っている人」(ほぼ全員)、そして「前回発表されたGDPの成長率が何%だか知っている人」(数人)の人数を質問して、「クリスマスに日銀まで来て『景気の見方』を聞いて見ようなんて人はどんな人かと恐ろしかったが、大体想定通りの方々で安心しました」との由。

講演後は昨年同様、地下金庫(跡)の見学。関東大震災でもびくともしなかったが、地上建物の火事を消化したときの放水が流れ込んだ跡がある、等、昨年も聞いた話が続く。やっぱり定番の質問、「今は金庫はどこにあるんですか?」も出ていた(昨年と違って、今年は「言えません」の一点張りだったが)。見学グループ3組のうち、2番目のガイドさんがかわいかった…なんてのは内緒の話。

来年もあれば、今度は日銀そのものの講座に応募してみようかな。

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posted by としゆき at 18:50| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | お仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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