2011年03月27日

週末のBunkamura

11日の地震の後も被災地は厳しい状況であり、余震もまだ続いている。福島第1原発も予断を許さぬ状況であり、停電や物不足等、実生活上の問題に加えて、精神的にもストレスが絶えない。そんな中でも、マーケットは徐々に落ち着きを取り戻し、先週末の3連休は引きこもり状態だった僕も、この週末は久々に外に出てみた。

まず、渋谷Bunkamuraル・シネマで上映中の「英国王のスピーチ」(原題"The King's Speech")鑑賞。アカデミー作品・監督・脚本・主演男優賞を受賞したが、最初はこの映画の事を知らなくて、会社の人のおススメと言う事で見てみる気になったのだった。

現エリザベス女王2世の父であり、「王冠を賭けた恋」で知られるエドワード8世(シンプソン夫人と結婚するために退位)の弟であるジョージ6世。吃音で虚弱でもあり、内気であった王だが、第2次大戦開戦に際しての国民向けの演説を求められ、言語聴覚士であり友人ともなるライオネル・ローグのサポートでこの一大イベントに立ち向かっていく…。

コリン・ファース演じるジョージ6世、ジェフリー・ラッシュ演じるライオネル、そしてヘレナ・ボナム=カータ(彼女の演技がとってもいい!)演じる王妃エリザベス。3人の愛情と友情に溢れ亜この作品には、「悪役」は登場しない(憎まれ役としての大司教や、シンプソン夫人はいるが…)。派手なシーンはないが、いかにも英国風な雰囲気の中で進む物語は最後まで心温かく見ていられる。最後のスピーチを終えた後の、長女エリザベス(現女王)によるおませな「批評」にも注目。ライオネルも一点だけ「駄目出し」をして、ジョージ6世がウィットで返すが、映画パンフレットによると、このやり取りは実際に二人の間で交わされたものらしい。

「ソーシャル・ネットワーク」(『ソーシャル・ネットワーク』参照)とアカデミー賞を争ったが、両作品を見てみて、甲乙付けがたいものの、「英国王のスピーチ」が栄冠を勝ち取ったのは納得かな。

映画に続いて同じくBunkamura、ザ・ミュージアムでの「フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展」に足を運んだ。以前、『フランクフルト』で書いたように、昨年フランクフルト訪問時には改装工事中であったシュテーデル美術館から、フェルメールの「地理学者」が来日。

地理学者

フェルメール』で書いた「フェルメール展 光の天才画家とデルフトの巨匠たち」でもそうだが、寡作なフェルメールはどうしても、他の作品と「抱き合わせ」になるのは仕方がない。ましてシュテーデル美術館所蔵のフェルメールは「地理学者」一点だし。今回の展示でも、フェルメール1点+「オランダ・フランドル絵画」94点。それでも同時代の絵画を見比べてみるとなかなか味わいがあって良い。経済発展と共に、裕福となった市民階級のために貴族風な(たとえば乗馬姿だったり)の肖像画が好まれていただとか、飲酒喫煙等の生活の乱れが多く描かれているだとか、解説を読んでいても楽しい。

また、工房の形で絵画が「生産」されていたこともあり、作者名を見ていても「ヤン・ブリューゲル(父)の工房」、「ウィレム・ファン・ド・フェルディナンド(子)(工房共作)」等と言うものもある。他にも、「フェルディナンド・ファン・ケッセルに帰属」、「アドリアーン・ファン・スタルベント(?)」、」「トーマス・ド・ケイザーの様式」、「ヤン・ブリューゲル(子)の追随者」、「ヒリス・ファン・コーニンクスロー周辺の画家」なんてのもあって面白い。しかし「追随者」って…。

Bunkamuraは7月から12月まで改装休館だそうだが、12月23日からは「フェルメールからのラブレター展」が開催予定。「手紙を読む青衣の女」、「手紙を書く女」、「手紙を書く女と召使い」の3点が来日(「〜召使い」は上記「フェルメール展」でも見られた)。フェルメール全点制覇への道は続くのだった。
posted by としゆき at 16:54| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月18日

G7協調介入

午後2時46分に地震が起こったのは、ちょうど一週間前の金曜日。日々伝えられる被災地の状況は胸が痛むばかりだが、余震や原発のニュース等、東京にいても落ち着かない状態が続く。帰宅難民が発生したり、停電が起こったり、地震後に土日を挟んでいたのが不幸中の幸いだと思えるほどだったが、今週はマーケットも大荒れだった。

週明けの月曜日に株が売られたのは自然だとして、原発危機が深刻になった火曜日には、ブラック・マンデー、リーマン・ショックに次ぐ、史上3番目の下落率。その後も日替わりで上下を繰り返し、ボラティリティは下がっていない。

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さらに為替は木曜朝に、ドル円の史上最安値(円の対米ドル最高値)79円75銭をあっという間に突破、テレビで「モーニング・サテライト」を見ている時も、78円台、77円台、76円台と真空地帯を落下し、新たな最高値76円25銭(Bloombergによると76円36銭らしいが、この辺は情報ベンダーによって違う)へ。保険金支払いを余儀なくされる生保・損保を始め、国内投資家によるリパトリエーション(資金国内回帰)という後付けのストーリーも語られたが、やはりヘッジファンド等の仕掛け売り説が根強い。また、朝方のニュージーランド・オーストラリア時間はマーケットが薄いことから、80円割れにストップのオーダーを置いていた個人投資家を狙った、いわゆる「ストップ狩り」と言う話も出ている。

ところが、本日18日、日本時間朝7時から始まったG7の電話会議を受け、日米英欧加(要はG7)が協調介入を決定、一気に81円台まで持って行った(ちなみに、ロイターの記事では、介入開始直後のコメントで野田財務大臣がイギリスの名前を出してなかったようだが、言い忘れたのか、ロイター側の間違いか)。

USDJPY20110316-18.gif

各中銀勢揃いで、それなりにインパクトのある決定だったが、ロイターに流れていたみずほ証券・鈴木健吾氏のコメントがふるっている(彼もイングランド銀行に言及してないのは、野田大臣の発言を踏まえてのコメントだからだろう):

----------(引用開始)----------
09:23 18Mar11 RTRS-G7こうみる:これで投機筋の息の根止まる=みずほ証券 鈴木氏

 <みずほ証券 為替アナリスト 鈴木健吾氏> 
1995年のときも「秩序ある反転」声明と協調介入で相場は反転した。過去を見ても、介入で流れが変わることが多かった。これで投機筋の息の根は止まるだろう。日本の単独介入だったらここまで上昇しないし、再び80円を割ってしまっていたと思う。FRB(米連邦準備理事会)にECB(欧州中央銀行)、カナダ中銀も参加するということで、このメンバーに喧嘩をしかける投機筋はいない。日銀の2発目の介入も予想されるし、今夜にはECBとFRBが介入するだろう。投機筋はもうロングで仕掛けてきていると思う。
(東京 18日 ロイター)
----------(引用終了)----------

と言う訳で、「投機筋の息の根」は止められてしまったらしい。彼は何か「投機筋」に恨みでもあるんでしょうか(もっとも、彼も言うとおり、ロング=買い持ちにひっくり返した動きも出ているようだから、まだまだ「投機筋」は健在かもしれないが)。

この介入を受けて、株高、債券安が進み、午後3時現在では、福島原発もそれなりに前進が見られそうだというニュースを受けて、本日のマーケットは小康状態。ヨーロッパ時間にはイングランド銀行を始め、ドイツ連銀、フランス中銀、イタリア中銀が為替介入していた。スイス中銀はノーコメントだったが、ニューヨーク時間にはFRB(実際のオペはニューヨーク連銀が行うと思うが)・カナダ中銀も介入するだろう。

緊張とストレスで非常に大変な一週間だったが、とりあえず一息ついた円高同様、とりあえず3連休、体と頭を休めることにしよう。
posted by としゆき at 19:57| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | お仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月11日

東北地方太平洋沖地震

本日最大のニュースは、「東北地方太平洋沖地震」だろう。後場(午後のマーケット、債券先物だと12時半〜15時)も終わろうとする14時46分、いきなり大きな揺れを感じて、職場のあちこちで「あ、地震だ」と言う声が聞こえる。ところが、いつまでたっても揺れがやまず、それどころかどんどん揺れが大きくなり、徐々に不安が高まってくる。余りの揺れのひどさに、思わず会社の椅子に備え付けのヘルメットを取りだして用意してしまう。ロイターの速報で東北地方が震源地と聞いて、とりあえず直撃を避けられたことに感謝するも、東京でこれだけの揺れということは、東北がどうなっているのか、心配になってくる。

本日の日経平均、長期国債先物、ドル円相場のチャートを見ても分かるように、地震をきっかけに大きく相場が動いている。株は当然売られ、債券はいきなりのラリー。為替は円安に飛ぶも、地震から5時間ほど経過した現時点では円高方向に振れている。

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まだテレビ報道等を詳しく見ていないので被害の程度は分からないのだが、マグニチュードは8.8だということなので、関東大震災や阪神淡路大震災よりも大きいらしい。マグニチュードは1違うとルート1000倍エネルギーが大きくなるから、マグニチュード7.3だった神戸の地震に比べても、10の2.25乗≒178倍ということになる。もちろん、マグニチュードは不確定性があるし、実際の地震の被害にダイレクトに関係するわけじゃないが、とてつもなく大きな地震であったことは間違いない。

うちの会社が入っているビルは、普段の避難訓練ではすぐに外に出なさいとアナウンスされる(19階から階段で!)のだが、本日に関しては余震もひどい事から、ビル内の方が安全だから出ないようにということだった。また、訓練時は英語でもアナウンスが入るが、今日は日本語のみ(数時間たってようやく英語も始まったが)。もっとも、やはり地震に慣れないからなのか、外国人軍団はアナウンスなんか関係なく避難してしまったのだった。

取引を媒介するブローカーからも、避難命令が出たのでいったん離席しますとスピーカーから流れてきたり、日本国債取引仲介最大手のBB(=Broker's Broker)は、地震後に取引を停止していた。オプションの行使(金利物だと、15時が通告期限な事が多い)をしようにも、電話がつながらないといった状況で、混乱したりもしたが、僕の周囲では怪我人も出ず、特に大きな混乱もなかった。

もっとも、タクシーは捕まらない、道は大渋滞、地下鉄もJRも止まっているという状況で、帰宅難民が予想され、僕の両隣の2人は急遽、会社近くの自転車屋さんにかけつけて見事自転車をゲット。なんでも最後の2台だったそうで、そのあとに来た女性が「私、立川なんですけど…」と泣いていたらしい(ゲットした先輩曰く、「立川なんて帰ろうとする方が間違ってる」)。19階から階段を下り、ギリギリのタイミングで買いに出た二人はさすがトレーダーというべきか…。もっとも、(他の用事があったからだという話だが)タクシーを手配していた僕の上司の方が1枚も2枚も上手な気もするけれど。
posted by としゆき at 20:22| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | お仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする